クリエイターがオウンドメディア持つべき10の理由

オウンドメディア

AIの技術が進歩しはじめ、ロボットが人間に代わって働くこともそう遠くない未来になってきました。巷では「10年後に無くなる仕事・残る仕事」等のタイトルの書籍も増え、多くの人が、近い将来働き方が変わってくることを予想しています。

最近ではAIが絵やデザインをすることが可能になってきており、私たちのようにクリエイティビティを駆使して捜索している職業にも、AIによって仕事を奪われる未来が忍び寄っています。

今現在クリエイターや絵描きを目指している方々は、若い方も多いでしょうから、この先10年どころか30~40年もの間いかに仕事を得ていくかを考えなくてはなりませんよね。

その頃には、アートの役割だったり、絵の使われ方、使用媒体、絵に使うソフトウェア等確実に今とは違ったものになっているでしょう。そうなっても、仕事を得るためにはどうしたらいいのかと私はいつも考えています。

そんなわけで、クリエイターが将来継続して仕事を得ていくために現段階で推奨できる方法として私がおすすめする、「クリエイターがオウンドメディアを持つべき理由」をご紹介します。

「オウンドメディア」を持っているクリエイターが生き残る

クリエイター

私は以前から「アーティストやクリエイターはオウンドメディアを持っている人が生き残る」と考えています。

しかも、早くからオウンドメディアを持った人ほど有利になるんです。

聞きなれない言葉なので、まずは簡単にオウンドメディアと関連して出てくる言葉について説明しますね。

1.オウンドメディアって何?

簡単に説明すると「Owned(自分の所有している)」「Media(メディア)」で、「オウンドメディア」ですので、ホームページやブログ等の事です。


日本では「企業が運営するブログやウェブマガジン」の事を指すことが多いよ

2.オウンドメディアが主流になるまでの経緯

「ブログなんて前からあったじゃん!」って思いますよね。

でも、以前は企業が自社のメディアとして「ブログ」を運営していることは稀で、あったとしてもおよそメディアと呼べるようなものではなく、サイト管理者の日記のようなレベルのものが多かったのです。

その当時は、自社の商品を売るために「チラシ」「テレビCM」「ラジオ広告」「ネット広告」にお金を払って広告を行っていましたが、TwitterやFacebookなどのSNSが登場して、企業は広告費を削減するべくSNSを使い始めます。

しかし、SNSを使う若い世代は広告に対して敏感な反応を示し、広告だと気付くと見なくなってしまったり、ブロックされてしまったりと、思ったように収益化ができないことに企業は気づきはじめます。

そうして、現在主流となっている「企業の運営するウェブマガジン」としてのオウンドメディアが主流になってきました。

3.ペイドメディア・アーンドメディア・オウンドメディアの3つ

オウンドメディアは、「ペイドメディア」「アーンドメディア」と合わせて「トリプルメディア」の1つとして位置づけされています。

ペイドメディアは、「テレビCM」や「チラシ」「新聞」などの広告です。そして、アーンドメディアはSNSなどの拡散力を持つ媒体や口コミなどのファンの声です。

それぞれの特徴は下記の通りです。

ペイドメディア アーンドメディア オウンドメディア
媒体 新聞・テレビCM・チラシ・ネット広告 SNS・掲示板・(口コミ) Webサイト・ブログ
定義 企業がお金を払って利用するメディア ファンやお客さんの声 企業が自社で運営するメディア
役割 オウンドメディアにお客さんを送り込む オウンドメディアのコンテンツに反応する 自社のコンテンツに興味を持っている見込み客を呼び込める
メリット 速効性がある

お金を払えば効果が確約できる

情報の信頼性・信憑性が高い ニッチな属性にもマッチする

自社のコンテンツにコストを集約できる

ファン(お客さん)を育てることが出来る

課題 近年効果が減少気味

信頼性が低くなっている

企業がコントロールできない

悪評が広まる可能性もある

効果を発揮するまで時間がかかる

これら3つのメディアタイプは、それぞれが上手く関連しあって集客力を発揮することが出来るのですが、その中でもオウンドメディアが中心となってペイドメディア・アーンドメディアをつなぐ橋渡し的な役割を担っています。

クリエイターがオウンドメディアを持つべき10の理由

オウンドメディア

クリエイターの皆さんは企業ではありませんが、「オウンドメディア」を持つことでご自身の仕事やファン獲得に大いに役立てることができるなど様々なメリットがあります。

ただし、私がここで言う「クリエイターのオウンドメディア」とは、単なるブログやポートフォリオサイトの事を指すわけではありません。

現在既に無料ブログなどで記事を書いている方は、現在お持ちのブログがこれから書くオウンドメディアのメリットが発揮できるものであるかどうか照らし合わせてみてください。

1.オウンドメディアはファンの獲得に適している

オウンドメディアでは、過去の作品ギャラリーはもちろん、使っている画材や、どのようなテーマで絵を描いているのか、絵を描いているときに聞いているBGMなんかも伝えようと思えば伝えることが出来ます。

あなたの作品に興味を持ち始めている見込み客(もうちょっとでファンになってくれそうな人)が、もしあなたの公開している情報に「共通の趣味」「共通の悩み」があることでより一層興味を示すかもしれません。

また、あなたのような絵を描きたいと思っている学生が、あなたの使っている画材を知りたくて質問してくることもあるかもしれません。その時にあなたがとる対応次第で、今後もずっと目標にしてくれるファンの一人になるかもしれません。

オウンドメディアのメリットの一つは、自分のサイトに訪れた人とコミュニケーションが取れるという点です。

あなたが有益な情報や真摯な対応をもたらし続けることで、サイトを訪れた人との間に信頼関係が生まれ、熱心なファンが増える可能性も高まるでしょう。

まとまった有益な情報を発信するという点では、SNSやポートフォリオサイトではなかなか真似できないポイントですし、ペイドメディア(広告)に、お金を払ってチラシにあなたの作品を載せるよりもはるかに効果は大きいでしょう。

以前「アマチュアクリエイターにポートフォリオサイトがおすすめできない理由」の記事で書きましたが、作品やプロフィールのみが掲載されているポートフォリオサイトでは、こういったファンとの直接のコミュニケーションがとりにくいという点で、アマチュアクリエイターにはおすすめできないと紹介しました。

2.オウンドメディアはファンや顧客を育てることが出来る

「育てる」というのは少々言葉足らずですが、「ファンや顧客のロイヤリティ(忠誠心や愛着)を育てることが出来る」といえばもう少し正確かもしれません。

あなたのオウンドメディアで発信される親切な情報は、あなた自身の評判になって返ってきます。あなたが自身がファンのためにやってあげたいと思う事を真摯に継続することで、ファンはよりあなたの言葉を信じるようになり、応援したいと思うようになります。

そうやって育っていったファンの心は、例えあなたに似た作風の人が出てきても、あなたのもとを離れることなく応援し続けてくれるでしょう。

3.自分のコンテンツにコストを集約することが出来る

オウンドメディアの特徴の一つとして、「コストを掛けたいところに掛けることが出来る」という物があります。

もしあなたが自分の事を知ってもらうために、毎月新聞に広告費を払って掲載してもらうとしましょう。

新聞広告のような「フロー型」のペイドメディアは、一定の効果があったとしても、あなたが支払いを辞めれば広告は載らなくなり客足は減少します。そして、広告を載せていた期間得られていた効果は、掲載を辞めたとたん0に戻ります。

一方で、オウンドメディアはサイト管理のために「サーバー代」や「ドメイン代」などがかかりますが、オウンドメディアは継続すれば継続するほどコンテンツや実績が溜まる「ストック型」のメディアです。

あなたが発信し続ける情報は、オウンドメディアのコンテンツとなって蓄積され、継続すればするほどあなたの武器になります。

お金を払うとしたら、一度限りの効果である「フロー型のペイドメディア」と、続けるほど効果を発揮する「ストック型のオウンドメディア」のどちらがいいかは明白ですね?

4.自らのファンの特性や興味を知ることが出来る

analytics

オウンドメディアを運営する際には、多くの場合「グーグルアナリティクス(Google Analytics)」などの、アクセス解析ツールを導入していることが多いです。
※当サイトもプライバシーポリシーに記載している通り、Google Analyticsを導入しています。

それによって、

  • サイトに訪れる人の属性(性別、年齢区分、住んでいる地域)
  • 人気のあるコンテンツ・よく読まれる記事
  • サイト滞在時間
  • Googleなどの検索エンジンで打ち込まれた検索ワード
  • どのSNSからの流入が多いのか
  • サイトを見ている端末は、スマホかPCかタブレットなのか

等の情報を手に入れることが出来ます。(※正確な個人の特定はできません)

あなたのサイトを訪れる人は、男性が多いのか女性が多いのか、あなたのコンテンツで人気のあるものは何なのかがデータとして見ることが出来ます。

スマホで見ている人が多いと分かれば、スマホで見やすいように画像や文字のサイズを修正したり、若い女性が多いと分かれば、若い女性が好きそうなコンテンツを増やすという対策を取ることが可能です。

また、自身の作品についても、どの作品が人気なのかを知ることで、あなたのファンがあなたのどのような作風を好むのかがわかり、より人気のでる作品を作ることが出来るでしょう。

5.ファンに向けて特化したコンテンツを加えることが出来る

ファンの特性を知ることに関連しますが、あなたのファンがあなたに何を求めているかを知ることで、オウンドメディアはその要望に特化したコンテンツを組み込むことが出来ます。

以下は、私が実際に受けたことのある要望の一部です。

  • 線画を個人的にダウンロードして塗り絵として使わせてほしい
  • 自社の商品を使ってレビュー記事を書いて欲しい
  • 使ってる画材を紹介して欲しい

自ら運営しているオウンドメディアで、自分がこれらの要望に応えたい!と思えば、ファンのために実装することも可能です。

ファンの要望に応えることで、前述したようにロイヤリティが育ち、より一層あなたの事を応援してくれるようになるかもしれません。あなたのもとに訪れたファンを大切にすることは、やみくもに広く発信するよりもはるかに重要です。

オウンドメディアの目的は、何よりもあなたの事を本当に支えてくれるファンを大切にするためにあると言っても過言ではないのです。

6.ニッチな情報にも対応することが出来る

アホウドリ

例えば、あなたの得意な絵のモチーフが「アホウドリ」だとしましょう。

あなたが自身のコンテンツで「アホウドリの描き方」というタイトルで、絵の描き方について解説した記事を書くとします。

現段階でGoogleで「アホウドリ 描き方」と検索してみても、アホウドリの描き方を解説している記事は1つもありません。

アホウドリの描き方を知りたいと思って検索する人は月に1人いるかいないかだと思いますが、あなたのコンテンツに「アホウドリの描き方」があるおかげで、その人はあなたのサイトにたどり着くことが出来ます。

つまりは「どんなにニッチなコンテンツでも、あなたの武器になる」という事です。

自分の描く絵がどんなに一般受けしなくても、世の中にはアホウドリが三度の飯よりも好きな人もいます(多分)。他の絵は描けなくても「アホウドリの絵なら負けない!」という自信があれば、あなたのオウンドメディアは十分な武器を持つことができるでしょう。

7.自らの人となり・考え・作品の特徴をアピールすることが出来る

こちらの「ポートフォリオの郵送や持ち込みは効果があるの?」の記事でもご紹介しましたが、仕事を依頼する編集者さんやアートディレクターさんの多くは、「クリエイターの人となり」を重視することが分かっています。

作品とプロフィールだけが掲載されているポートフォリオサイトとは違い、オウンドメディアではあなたの人となりや、考え方などもアピールすることが可能です。

仕事の制作過程を公開することで、どのような手順を踏んで担当者とやり取りをするのかも見せることが出来ますし、何より作品以外の情報が豊富にあることで安心してもらうという心理的な効果もあります。

圧倒的に作品に自信がある方であれば、余計な情報はむしろ不要な場合もありますが、作品以外にアピールできるポイントがあれば掲載しておくと良いでしょう。

8.検索エンジン経由での仕事の依頼が増える

オウンドメディアにコンテンツを充実させることで、検索経由での仕事の依頼が増えます。

検索経由で仕事の依頼が来るメリットは「アマチュアクリエイターは検索経由で仕事を得ることを目指そう!」の記事でご紹介した通り、作品提供のタイミングが最も良いので、自分の作品を見てもらいやすい点にあります。

そして、検索経由での流入が安定すると、継続的にアクセスが来るようになり、コンテンツの充実があなたの仕事依頼につながりやすくなります。

9.オウンドメディア自体が収入源になる

5つ目の項目「ファン向けに特化したコンテンツの追加」で紹介したように、あなたのサイトを見に来るファンが増えると、商品を購入したいというお問い合わせだけでなく、商品レビューや広告掲載の依頼などが来ることがあります

あなたの各コンテンツが評価され、あなたを応援するファンも増え、仕事の依頼が増えるようになり、さらには仕事と直接関係がないあなたのコンテンツからも収入を得ることが出来るようになります。

当然、商品レビューや広告の掲載はあなた自身が選ぶことができ、「創作活動に影響があるのでやらない」と判断するのも自由です。

しかし、もしあなたが「絵を売らないと収入にならない」と考えているのであれば、他にも色々な方法があることを知っておくのも大切です。

絵描きが売ることが出来るのは絵だけではないという事を理解できると、大好きな絵を描き続ける助けになると私は思います。

10.サイトがあなたの資産になる

オウンドメディアを運営し続けると、運営期間やコンテンツの量・質に応じて、サイトの評価が高まります。

あなたが創作活動と並行してオウンドメディアを運営することが出来れば、あなたに継続的にファンや仕事をもたらしてくれる資産となります。

継続して獲得してきた顧客データや、記事やSNSを更新するたびにサイトにやってきてくれるファンは、あなたがこの先どのような活動をしようともあなたを支えてくれるでしょう。

クリエイターの中には、ポートフォリオのプロフィール欄に載せる「仕事実績」「受賞歴」「出身校」などが、あなたの評価を決める全てだと思い込んでいる人がいますが、それは違います。

少なくとも、あなたの運営するオウンドメディア経由であなたのファンになってくれる人は、あなたの出身校や仕事実績をみて応援してくれているわけではありません。

私のように、美大やアートスクールで絵を学んだ経歴の無いクリエイターでも、オウンドメディアで情報を発信することによって、仕事やファンを獲得することは可能です。むしろ、そのような経歴や実績にコンプレックスを持つクリエイターほど、オウンドメディアの構築に挑戦して欲しいと思っています。

まとめ

クリエイターがオウンドメディアを持つべき理由をご紹介しましたが、当然オウンドメディアを運営するためのコストや時間がかかり、創作活動をする時間を削ることにつながります。

それでも尚、オウンドメディアを持つことを勧めるのは、私の経験上「絵を描き続けるには自分の創作物に対するリアクションや評価を大なり小なり受け続ける必要がある」と感じるからです。

私はかなり初期の段階からオウンドメディアを運営していたおかげで、WEB経由で仕事の依頼をいただいたり、ファンからコメントをいただいたりすることで励まされ、結果細々ではありますが絵を描き続けることが出来ています。

絵を描くことだけに集中すれば絵はうまくなります。

しかし、絵が上手くなってから「いざ集客をしよう!」「ファンを集めよう!」としても、成果が表れるまで時間がかかるというオウンドメディアの性質上動き出すまでに時間がかかります。

もし、今現在創作活動をしつつも、色々な方面からご自身の情報発信を行いたいと考えている方は、オウンドメディアを持てみることを検討してみてはいかがでしょうか。

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